GRA の「企画ノート」です

NPO法人GRAが、企画案や作成中の文章などを公開し、広く意見や提案も募集するページです

『 スマート ライディング 』基本講座用、 草稿文章(案)

公式Webサイトの『 オートバイの基本講座 』では、オートバイとの付き合い方の提案を “ 心 ”、“ 技 ”、“ 体 ”、“ バイク ” の 4つの項目に分けて、多くの人々に参考にしてもらえるようにしています。
 
どの項目でも、GRA として “ 基本 ” として伝えたい事柄を掲載します。
ただ、今まで 本や インターネットを通じて 基本的常識 として伝えられている事柄の中には、「 迷信 」や「 都市伝説 」、「 誤り 」が多く含まれているのも事実です。
そういう状況だからこそ、GRA として 理論的 且つ 分かり易い解説を通じて、少しでも多くの方々にオートバイを いつまでも、安全に、楽しんで欲しいと願っています。

また、十分な検証や配慮を行なった上で発信を行なっていきますが、万が一、誤っている内容等がありましたら、是非、ご連絡を願います。 理論的な確認が取れ次第、すぐに修正処理を行ないます。

 

【 技=ライディング の 草稿案 】

このページでは “ 技 ” (ライディング技術)編用に、「 ライディングの基本」(仮称)というタイトルで、ライディングの基本だと考えている事柄や 誤解されている乗り方などの解説をする予定です。
 
ここに、その基本を説明する文章(草稿案)を簡単に書き留めますので、「理解できいない」とか「それは間違っている」などの 意見 あるいは 質問をお待ちしています。

  *    *    *    *   以下、草稿案   *    *    *    *


【 スマート ライディング 】

最初に「 スマート 」とは、「 洒落ている 」とか「 格好良い 」とは別に、「 賢い 」という意味でよく使われます。
つまり「 スマート ライディング 」とは、“ 賢くて 格好の良い ライディング ” です。

この「 スマート ライディング 」を身に付ける事で、“ いつまでも、楽しく、安全な オートバイライフ ” を過ごしてください。
 
 
【 スマート ライディングの基本は3つ 】

スマート ライディングの基本操作は、以下の3つにまとめられます。

〇  アクセル(加減速)操作
〇  ブレーキ(減速)操作
〇  バンク(旋回)操作


オートバイの操作(ライディング)をオートバイ側から見れば、ブレーキ、アクセル、そしてバンク操作だけがライダーからの積極的な “ 指示 ” です。
オートバイは、その構造や物理的法則に従った特性で運動を行ないますが、どの特性をどのタイミングで、どの程度利用するかは ライダーに委ねられています。
従って、ライダーに求められる事は、それらの特性を十分に理解して、最適なタイミングで、最適な量の操作をする事だけです。

つまり、オートバイのライディングは、アクセル と ブレーキ、そして バンク操作を適切に行なう事だけで、“ 指示 ” をした後は オートバイの自然な動きを ライダーは一切邪魔をしない事が必要ですし、それが “ スマートライディング ” です。

ですから、リーンウィズや前傾姿勢などの上体姿勢やニーグリップ、ハンドル操作、視線使いなどは ライディングの基本ではなく、オートバイの自然な動きを妨げない為の工夫であったり、またはライダーが誤った操作を行なった時の補正的操作です。
可能な限り最少の “ 指示 ” で、オートバイ自身が持つ能力を発揮させるのが “ スマートライディング ” であり、それは 馬 のライディングと共通しています。


【 アクセル操作と荷重コントロール

アクセル操作とは、走り始めるのに必要な操作ですから、誰でも無意識に行なっている操作の為、単に 前に進む為、速度を出す為、とだけ考えられていますが、それではオートバイを正しく理解しているとは言えず、安全にオートバイを楽しめているとは言えません。

オートバイにとって アクセル操作は、目的地まで移動するための速度を出す目的以外、“ 荷重コントロール ” という大切な目的があります。
この “ 荷重 ” とは、タイヤを路面に押し付ける力の事です。“ 荷重 ” が タイヤに掛かっているからこそ、前に進む事や、止まる事、曲がる事が出来る大切な要素です。

“ 荷重 ”は、基本的には 車体とライダーを合計した重さになりますが、アクセル操作一つで その 量 を増やす事が出来る他に、フロント(前)タイヤに掛かっていた “ 荷重 ” を リア(後)タイヤへ移動したり、逆に リアからフロントへと移動する事も自由自在にできます。

“ 荷重 ” の量が増えたり、フロントとリアの間で移動する事は オートバイが持っている能力を活かす大きな助けとなり、オートバイが高い安定感で活き活きと動くには欠かせない事です。
逆に、“ 荷重 ” を生み出したり移動させる意識の無い アクセル操作 では、決して オートバイは正しく安定した動きは発揮してくれません。

アクセル操作の基本練習では、この “ 荷重 ” を生み出したり移動させる、“ 荷重コントロール ” を意識して確実に使える事が練習目的とすべきです。



【 ブレーキ操作と荷重コントロール

ブレーキ操作とは、ブレーキレバー や ブレーキペダルを用いて、減速する動作の事ですが、多くの人は 単に速度を落とす為の操作であったり、停止する為の操作だと理解しているでしょうが、それだけではオートバイにとって寂しい事です。

オートバイにとって ブレーキとは、次の動作に繋げる為の大切な動作です。 それは丁度、走り高跳びの選手が跳躍に備えて踏み切る脚の働きと同じで、それまでのエネルギーを次の動きへ繋げる働きこそ ブレーキ の面白さであり、スマートライディングの真骨頂とも言えるのです。

オートバイの次の動作とは、直線走行した後でのターン(旋回)動作であったり、ワインディングロードなどでの 右ターンから左ターン などへの切り替えしであったり、Uターンの様に大きく周り込む動作で、いづれの場合にも ブレーキ操作は 単なる減速動作以上に大切な役割を果たすのです。

また、その動作に繋げる為の エネルギー には 2種類のエネルギーがある事を忘れてはいけません。 一つは 速度のエネルギーで、これは 速度が高い程に大きい事は理解できるでしょう。
そして、もう一つは 加速 のエネルギーです。これは ブレーキ操作直前 の 加速 の度合いが高ければ高い程に 大きくなる エネルギー です。 アクセル操作で生み出した “ 荷重 ” を、ブレーキ操作直前の的確な アクセル OFF 操作 により、フロントタイヤ へと移動させられる “ 荷重 ” です。

そして、ブレーキ操作時にフロントタイヤ から 路面へと伝わっている “ 荷重 ” の大きさを常に感じ取る能力が、ブレーキングだけではなく ターン(旋回)時の 荷重コントロールに必要な能力になります。 だから、“ 荷重 ” を常に意識して、その “ 荷重 ” の大きさを一定に保つ感覚と能力が スマートライディング に必要です。

そのため、ブレーキ操作の基本練習では、一定速度からの ブレーキ操作練習の他、10%ブレーキングから 80%ブレーキングまで 設定した強さのブレーキ操作コントロールや、アクセル操作 直後に 設定した強さでのブレーキ操作が確実にできる事を目的とした練習をすべきです。

なお、教習所や講習会、安全運転大会などでよく見かける誤解は、フロントブレーキ操作の軽視です。 オートバイにとって大切なブレーキの大半は フロントブレーキが握っています。どんな状況であっても フロントブレーキを的確に使える能力を磨く事が十条であり、一般路での走行であればなおさら重要である事は言うまでもありません。  


【 バンク操作と荷重コントロール

バンク操作は基本的にさほど難しい操作ではありません。 なぜなら オートバイ自身は 常に バンク しようとしているので、束縛を解き放ってやるだけで十分だからです。
ただ、難しいのは、ライダーがバンク操作の前に、どの位置で、どの角度までバンクさせるか 正しい “ 指示 ” を出してやる事です。

多くのライダーは的確な “ 指示 ” を出す事に熱心ではなく、バンクさせた後で バンク角を変更したり、アクセルやブレーキの操作を追加したり、最悪なのは ハンドル操作で修正したりしています。
これは、殆どの 競技会のトップクラスと言われる人達でも共通した操作ですが、スマートライディング的には 上手だと言えません。 例えトップクラス に入れなくても、的確な バンク操作 を、自身とオートバイの能力を正しく発揮する事こそが スマートライディング であり、上手なライディングだと理解する必要があります。

バンク操作の基本練習で注意すべき点は、“ 荷重 ” のコントロールです。
バンク操作直前の エネルギーを、ターン(旋回)動作へ正しくつなげて、より安定したターン走行ができる事を目的とした練習をすべきです。

なお、ブレーキ操作の説明で書きましたが、バンク操作からターン動作の場面でも フロントタイヤ ・・・ ( 以下、未稿 )